“代打の神様”関本 今季限り引退 猛虎一筋19年

選手会長を歴任するなど、阪神一筋19年。 すでに球団幹部に意思を伝えたと見られ、近 日中に、球団から正式発表される見込みだ。 05年5月から07年8月にかけては、二塁 手連続守備機会無失策804というセ・リー グ記録を打ち立てるなど、究極のユーティリ ティープレーヤーとして、チームの勝利に貢 献してきた。“代打の神様”として無類の勝 負強さを見せている関本が、今季限りで現役 引退することが分かった。引退は決意したが、 生きざまを貫き、最後の最後まで全力を尽くす。 9回に同点打を放った23日の巨人戦に続き、 前日27日の広島戦でも大瀬良から反撃の適時 打を放ったばかりだった。それが引き際の美学 だった。地獄を見たからこそ、目の前の一瞬、 一瞬を大切に過ごしてきた。

不安なく送球できるまでに費やした期間は実に2年。 長く険しいプロ野球人生を支えたのは、座右の銘で ある「不撓不屈(ふとうふくつ)」の精神だった。 ただ、ベテランと呼ばれるようになってからは、1年間 1軍の戦力としてプレーすることを己に課してきた。この日 はゴメスに代わり9回から一塁の守備につき、阿部の打球を 軽快にさばいた。10年ぶり優勝に対する強い気持ちとは裏腹に、 容赦なく悲鳴をあげ続ける身体。シーズン2度目のリハビリ生活を 強いられた時期から、引退の2文字がちらつくようになっていった。 9月8日に1軍復帰すると、そこから10打数6安打3打点と活躍。 虎党から愛された男が、静かにバットを置く。7月10日の巨人戦で 1軍復帰を果たしたが、それから間もない8月6日の広島戦での試合 前練習で今度は右背筋を痛めてしまった。大型内野手として期待され 1996年のドラフト2位指名で天理高から阪神へ入団。虎党に愛さ れた男が、甲子園に別れを告げる。さらば、セキ!阪神関本賢太郎内 野手(37)が今季限りで現役引退することが28日、分かった。この 日までに球団幹部に、意思を伝えたと見られる。やがてバントの名手と なり、08年6月17日の楽天戦では1試合4連続犠打というプロ野球 タイ記録をマーク。治療のため病院を渡り歩いたが、慢性的な痛みが治 まることはなく、意を決して、01年5月に右肩関節唇損傷の縫合手術を 受けた。手元にある数字は関係ない。勝負強さだけでなく、持ち前の選球眼、 守備固めに起用されるほどの堅実な守備もまだまだ健在だった。もっとも言 葉の意味をかみしめたのは、右肩手術からの過酷なリハビリ期間。阪神一筋 19年で、晩年は“代打の神様”として活躍。今季は、ケガに泣かされたシーズンでもあった。 当時の野球界での復帰例はダイエー(当時)の斉藤和巳投手ぐらいしかなく、 チーム内でも初めて行われる手術だった。プロ入りしてすぐにレベルの違いを痛感し、 アマチュア時代は無縁だったバントの技術をひたすら磨いた。試合終盤の出番が大半で 好投手との対決ばかりの中、打率は・250、出塁率は・404をマーク。6月2日には 左脇腹を痛め出場選手登録を抹消。