最高の復帰戦から低迷の現在へ……幕を閉じたドルトムント香川の2014年

そんななかで、香川真司もまた、時とともに苦悩が増すこととなってしまった。2015年は逆に、ここで調子を取り戻し、そこからドルトムントでの逆襲につなげることができるか。

DFBポカール(国内カップ)2回戦ザンクト・パウリ戦での、1ゴール1アシストも光った。結局、怪我人が復帰しても調子が上がることのなかったドルトムントは、このウィンターブレイクを利用し、補強も含めてチームの立て直しを図る。

ドルトムントは20日、ブンデスリーガ第17節で最下位ブレーメンと対戦して1-2の敗北。しかし香川は、アジアカップに招集されたことでこれに参加できない。

組織としてはもちろん、個々が時に信じられないミスを犯して自滅とも言えるかたちで得点を献上する場面が何度もあった。1月9日からはスペインで合宿を行ない、国内外のクラブとの練習試合も予定されている。

夏、冬ともに準備期間でチームと行動を共にできないハンデは、決して小さくはないだろう。現代サッカーにおいて、これほどの脆い守備を攻撃でカバーするのは不可能であり、それどころか守備の不安は攻撃を妨げるものとなる。

4年前は大会中に骨折の重傷を負い、残りのシーズンを棒に振ることとなったアジアカップ。とはいえ、香川は駒のひとつというよりは、切り札、決定的な仕事を期待されていた側面もあり、そのぶん周囲からの失望は低くない。

これについては、チーロ・インモービレアドリアン・ラモスといったFWのニューフェースも同様だが……。怪我人の続出などのアクシデントがあったとはいえ、ドルトムントがここまで低迷するとは誰も予想しておらず、バイエルントーマス・ミュラーは「驚きではなく、ショックだ」とまで語っている。

怪我が回復したイルカイ・ギュンドアンがトップ下として及第点以上のプレーを見せると、香川はいよいよベンチに座ったまま試合終了を迎えることも増えてきた。出番のないマンチェスター・ユナイテッドから電撃的な復帰を果たしたのが8月末。

実際、敗れはしたものの、内田篤人との対決ということでドイツでも大きな注目を浴びた第6節、シャルケとのルール・ダービーや第10節のバイエルン戦など、重要な一戦ではポテンシャルの高さを見せている。結局、バイエルンに引き抜かれたマリオ・ゲッツェロベルト・レバンドフスキの穴はいまだ、ぽっかり空いたままとなっている。

ひと際大きな声援を受けて地元ジグナル・イドゥナ・パルクに姿を見せた第3節のフライブルク戦ではチームのオープニングシュートを放ち、先制点の起点となり、さらに自身で2点目を決めるなど、これ以上ないかたちで復帰戦を飾った。古巣での再挑戦は順調に進むと思われた。

順位を落とし、21日にハノーファーと対戦するフライブルクの結果次第では、最下位で年を越すこととなってしまった。ファンから大歓迎を受けたのも、遠い昔の話のようである。

しかし、トップ下として、あるいはインサイドハーフとして継続して効果的なプレーを見せることはできず、逆に時が経つとともに組織のなかで機能する時間が短くなってしまっている(プレー時間そのものも減っているが)。チームとして見た場合、最大の問題は守備の崩壊だ。

もちろん、香川だけの問題ではない。4勝3分け10敗……。

ブレーメン戦では交代出場し、いくつかチャンスはあったものの活かせず、試合勘が鈍っていると感じられる場面も少なくなかった。