【ソフトB】武田、「魔球」高速カーブは“アタック”

12年に8勝1敗、防御率1・07をマーク。来季推定年俸は2600万円。

プロ通算は35試合登板で15勝8敗、防御率2・35。11年ドラフト1位でソフトバンク入団。

秘密はボールの握り方と、右腕の使い方にあった。7回3安打1失点で勝利投手になり、日本一に貢献した。

神との日本シリーズ第2戦(甲子園)では、120キロ台で落差が大きい高速カーブを駆使して6回2死までパーフェクト投球。得意の“魔球”を有効に使い、日本シリーズでも6回2死まで一人の走者も許さず阪神打線を手玉に取った。

緩急でも打者を惑わせた。まるでバレーボール選手がアタックを打つときのような肘と腕の使い方だ。

武田のフォームは肘を曲げずに右腕を一直線に伸ばすため、肘の位置が普通の投手より高い。21歳。

(取材、構成・戸田和彦)武田の高速カーブは独特だ。「一瞬、打者が(高めのボールゾーンに)『抜けた』と思っても、曲がってストライクゾーンに入る」と武田は説明した。

そうすることでボールは抜けにくくなる。「自分の投球フォームはバレーボールのアタックからきている」。

さらに、リリースの瞬間に親指でボールを“押し出す”感覚で投げるという。3年目右腕を一躍有名にした変化球の握り方や、元バレーボール選手の経歴を生かした投球フォームなど、徹底的に分析した。

独特のカーブと、150キロ前後のストレートとの球速差は約30キロ。そうすることで、球速は120キロ台と速くなるのだ。

「(高速)カーブが自分の持っている球種の中で、ずば抜けているとは思わない。186センチ、90キロ。

武田が中学時代に最初に覚えた変化球も、カーブだった。そして、大きな落差を生み出しているのは、186センチの長身を最大限に生かした投げ方だ。

独身。そのまま投げると必然的にリリースポイントが高くなるため、打者はボールが浮き上がったような錯覚に陥る。

そのルーツはなんと、小学校高学年時に取り組んだバレーボールにあるという。「三振を取れるカーブにしか興味がなかった」。

自分はバレーボール上がりで、(腕の)横の動きが(得意では)なかった」と振り返る。右投右打。

握りやリリースの瞬間のイメージを試行錯誤し、高速カーブにたどり着いたという。今季は7試合登板で3勝3敗、防御率1・87。

武田の武器は、その投げ方とは微妙に違う。昨年、今年と右肩痛に悩まされた際には右肘の位置を下げて投げていたが、当時は高速カーブは投げられなかったという。

当然、球速はストレートより遅くなる。打者の視界から消えるように、フワリと浮き上がるような軌道を描き、ストライクゾーンへ急降下する。

武田翔太(たけだ・しょうた)1993年4月3日、宮崎市生まれ。今オフの日米野球侍ジャパンに選出された。

ほかにあまり投げる人がいないから注目されているだけ」と本人は特に意識していないが、他人とは違う特異性が“魔球”と呼ばれ、恐れられるゆえんだ。チームメートらはスライダーやカットボールを覚える投手が多かったが「たぶん(当時は)カーブしか投げられなかったんだと思う。

一般的なカーブに比べ、親指と人さし指の間隔を狭くして握る。宮崎日大高では甲子園出場なし。

普通の投手が投げる緩いカーブは、ボールの下を親指で押さえ、上を人さし指と中指で挟み、その間からボールを「抜く」ようにして投げる。