「大減俸」G杉内 同じ故障経験者が明かす手術後の厳しい現実

(負傷した)場所は久保とほぼ一緒だけど、彼もいまだに試行錯誤を繰り返している。巨人・杉内俊哉投手(35)が10日、都内で契約更改交渉に臨み、今季5億円から、球界史上最大減額となる4億5000万円減の単年5000万円でサインした。

「ケガして治ったからって、今まで通りじゃないんですよね。恒例の更改後の記者会見がなかった代わりに、交渉終了後には自筆署名を添えた杉内のコメントが記された文書が、球団を通じて報道陣に配布された。

今オフに構想外となり、DeNAに移籍した久保裕也投手(35)に重ね合わせた。久保は2011年の11月に右股関節唇を修復手術。

「手術は無事に成功し、経過も大変順調」「個人的な感触としては来年のキャンプイン初日からブルペン入りできるのではないかと思えるほど」としてはいるが「来年は開幕からプレーできないことが確定している上、前例が少ない手術で、来年以降、どの程度のプレーができるか不明確だと思われても仕方のない状況」とつづっている。あるチームスタッフは「杉内の症状は決して軽くないと聞いている。

今年は夏場に調子を上げてきたけど、もう手術から4年以上かかっているし」。厳しい声をはね返し、もう一度マウンドで躍動する姿は見られるのだろうか。

手術以降、納得いくパフォーマンスができていないとまで語った久保は、自身の経験をもとに、最後に杉内へ向け、こう言葉を残した。果たして背番号18の完全復活はあるのか。

だが同じ故障を経験した仲間が明かしたのは、手術後の厳しい現実だった――。チーム内の意見は「厳しい」で占められている。

ただ、逆に手術したことで感覚が前よりも良くなったこともある。今は気にならないほど回復したが「スクワットするにしても深くしゃがめなかったり、重いものを持つと負荷が大きくなるから痛みが出たり、ということがあった」という。

そんな久保は股関節手術の苦しみについて「時間はかかりました。1回手術することで、元の姿に100%戻るわけじゃないと思うし、どこかしらに何か違和感を感じながらになります。

内容はチーム、ファンに対する“おわび”と来季復帰に向けた意気込み、そして「基本年俸をギリギリまで抑え、出来高で評価していただくことで了解をいただきました」と自ら球団に減額を申し出た経緯が記されていた。すでに術後4年以上が経過したが「今まで、スクワット(の動き)は避けてきた」という。

特に状態が悪かったころは、歩くときに引っかかったり、気になりだすとどうしても不安の方が大きい。100に戻らないと思っていても、100以上のものが出る可能性もありますから」野球人生最大の苦難に直面した背番号18。

ただ、復活への強い意志を表明した一方、気になるのは各所にちりばめられた“不安”だ。12年5月に右肘内側側副靱帯の再建手術(トミー・ジョン手術)を受けたが、その後も不安定な股関節の動きと痛みに悩まされ続けた。

現在は復活を目指して懸命のリハビリに励んでいる。翌シーズンに間に合わせたもののフォームのバランスを崩し、その影響もたたって右肘を故障。

『今までと違う体』になったってことは事実だから、ちょっとした感覚が戻らないこととかはあると思う。4年総額20億円の最終年にあたる今季は6勝6敗、防御率3.95。

7月末に登録を抹消され、10月に右股関節の難手術に踏み切った。でも、まだ100%じゃないし、動作の中で気になる動作もある。

箇所的には一緒だと思うけど、杉内の方が全然難しいというか、重いと思いますよ」と神妙な表情で語った。結局、思うような結果を出すことができず退団となった。