長野 坂本なぜ明暗分かれた?

成績面では大差ない“サカチョーコンビ”の評価が分かれた要因はなんだったのか――。坂本は更改後の会見で「(年俸)変動制の複数年でやらしていただいた」と明かしたが、近年の球界では、FA権を取得したレギュラークラスとの交渉では、ベースとなる年俸に“引き留め料”を上乗せした複数年契約を提示するのが主流となっている。

巨人の生え抜きスターコンビの明暗が今オフはくっきり分かれた。同じく長野も130試合、打率2割5分1厘、15本塁打、52打点と本塁打以外は成績を大きく落とした。

今季の坂本は130試合で打率2割6分9厘、12本塁打、68打点。そうした事情を知るチーム内からは同情の声も上がったが、2億円という高年俸からすれば、減俸は仕方のないところだろう。

今季は右ヒジと右ヒザのダブル手術明けで、シーズン中は痛み止めの注射を打ちながら強行出場を続けていた時期もあった。相棒と再び肩を並べるためにも、来季はバットで復活を示すしかない。

最大の要因は、坂本が今季中に国内FA権を取得したことにある。両選手とも「ふがいない」と口を揃えたように、数字はどちらも物足りない。

そんな2人の評価が分かれたのはなぜなのか。今回、坂本は「宣言せず残留」を決めたことと引き換えに、好条件を引き出すことに成功したわけだ。

すでに終えた契約交渉では、坂本勇人内野手(26)が3000万円増となる2億5000万円の好条件を勝ち取ったのに対し、長野久義外野手(30)はプロ入り初減俸となる2500万円ダウンをのみ、1億7500万円で更改。サカチョーコンビの年俸額はここ数年、競い合うように上昇カーブを描いてきた。

球団内外から「甘い」という声が上がっているのは事実だが、まだ26歳と若く、貴重な「打てる遊撃手」でもある坂本がFA宣言すれば、獲得に乗り出す球団が現れる可能性は高い。14年は1億8000万円で並び、今季は坂本が2億2000万円だったのに対し、長野は2億円。

一方の長野は、順調であれば来季中にFA権を取得する見込みとなっている。『来年、万全な状態で勝負してから話し合ったほうがいいんじゃないか』ということで、本人も納得してくれた」(球団幹部)今オフから選手会長に就任し、名実共に主将の坂本とチームをけん引していく立場となった長野。

「長野とは今オフ中にFA権込みの条件交渉をしてもよかったが、その場合、多少の上積みはあっても評価は厳しいものになる。そのため、今季は純粋に成績だけが査定対象となったため、ダウン評価となった。

打点以外は昨季の数字を下回った。だが、今オフは初めて“相関性”が崩れる結果となった。