原監督「彼に教わった」Ｇ打線に欠けていた野性味もたらした堂上

２軍では右手が使えない時期は、左手一本でティー打撃を繰り返した。チームは２０勝に到達し、首位・ＤｅＮＡとのゲーム差を２とした。

最後に対戦した一昨年は４打数２安打。広島の絶対エース・前田健に対し「追い込まれたので、食らい付いていった」とファウルで粘り、最後は外角１４５キロを左中間へ。

「感謝の気持ちでいっぱいです。これからも頑張っていきたい」。

勝利のハイタッチ。心に刻んだのは内田２軍打撃コーチの「自分を知れ」という言葉だ。

「こうしてここに立てて、少し恩返しができた。右肩が内側に入る悪癖をオープンスタンス気味に構えることで修正。

さらに「自分の足りないところを補った。２回の第１打席でも中前へ移籍初安打。

力外、故障を乗り越えた背番号９１が大仕事だ！巨人は１２日、今季から加入した堂上剛裕外野手（２９）の活躍で逆転勝ちし、広島の連勝を６で止めた。背番号は９１。

そういうものを彼に教わった」と称え、「ジャイアンツの選手たちにもいい刺激になったと思います」と続けた。≪実はマエケンキラー≫中日から移籍した堂上（巨）が初出場で同点打を含む２安打。

のちに骨折と判明し、原監督を驚かせた。故障で離脱していた阿部と坂本は１３日から復帰するが、堂上の野性味はチームには欠かせない。

調子の波があるので、継続してやれるように」と打撃の確実性を追求。「得意なイメージはないが、自分の状態がよかった」。

２月２８日、ヤクルトとのオープン戦（東京ドーム）では、初回の守備で右手親指の付け根を痛めながら「離脱するわけにはいかない」とプレーを続け、２度も打席に立った。獲っていただいたので、絶対に恩を返すんだ、という気持ちでいい結果になった」０―１の７回１死一塁。

２本目は左中間にうまく打った」と称賛した。さらに２死一、三塁から前田健のワンバウンドの投球を捕手の会沢がはじくと、三塁から猛然と突っ込み、決勝のホームへ滑り込んだ。

キャンプ中の実戦９試合で打率・３５５、１本塁打、１０打点とアピールし支配下に昇格。どん底を自らのステップに変えられるところに、強さがある。

２回に移籍初安打を放つと、０―１の７回には広島・前田健太投手（２７）から同点の左中間適時二塁打、さらに暴投で決勝のホームを踏んだ。堂上は謙虚な性格そのままに、一人一人に頭を下げながらナインの祝福を受けた。

お立ち台ではキャンプ中に食事をともにするなど、チームに溶け込むサポートをしてくれた井端も一緒。同点適時二塁打に東京ドームが大歓声に包まれた。

今季の巨人のテーマの一つ「野性味」を感じさせる男だ。観戦に訪れた長嶋茂雄終身名誉監督も「堂上はよかったね。

また、前田健（広）とは中日時代から１１試合目の対戦。巨人デビュー戦で殊勲安打込みのマルチ安打は、外国人選手を除けば、０８年７月２日ヤクルト戦で鶴岡（現阪神）が先制打を含む２安打して以来７年ぶりだ。

この日も指揮官は「野球というスポーツは本当に気持ち、魂を奮い立たせる。試合中は、４万４１３２人の大歓声を「獲ってくれなかったら、なかった歓声だな」と感慨深げに聞いた。

どん底からはい上がった２９歳が、新天地での初出場、初スタメンでヒーローとなった。通算成績は２１打数７安打の打率・３３３、３打点と難敵を攻略している。

この日出場選手登録され、「６番・左翼」で今季初出場。