森友哉らを育てる“文化”とは？ なぜ西武に日本人強打者が育つのか

1番の秋山翔吾外野手が開幕から好調を維持して首位打者争いを繰り広げれば、昨季のキング、4番の中村剛也内野手は交流戦に入ってホームランを量産。西武ライオンズの打撃陣が熱い。

当時は松井稼頭央、カブレラ、小関竜也、高木大成などが中軸でしたが、体格が大きくない選手でもしっかり振ってきますから。過去5度のホームランキングに輝いている中村を中心として、現在は楽天でプレーする松井稼頭央外野手や、オリックスでプレーする中島裕之内野手、中日の和田一浩外野手など、西武は若く、外連味のないスイングを見せる打者を常に輩出してきている。

86年には高卒で入団した清原の指導に当たる。2年目を迎えた森友哉捕手も、開幕から6番・指名打者を定位置として27日現在で13本のホームランを放ち、上位打線の後ろを支える打者として存在感を発揮し続けている。

そして、この黄金時代から現在にまで至る流れの中で、一人大きな役割を担っていたのが、土井正博氏だ。森の能力の高さが今季の成績に繋がっているのは言うまでもないが、清々しいほどのフルスイングを許容する文化が西武にはある。

不振を極めていたもう一人のキング、エルネスト・メヒア内野手も、ようやく昨年のバッティングを取り戻してきた。野口氏はこう続ける。

中村も当時の打撃コーチだった大久保さん（現・楽天監督）のことを恩師と言っていますが、大久保さん自体も土井さんに指導を受けています。「土井さんは本当に長い間、西武の首脳陣として仕事をされています。

1981年限りで現役を引退した土井氏は、1985年から西武の打撃コーチに就任。自由なだけじゃダメですが、そこにしっかりした指導が行われている。

特にその後半は、秋山、清原、デストラーデの3人がクリーンアップに並び、強烈な打線を構成。投手力や守備力も高く、必要とあればクリーンアップでも進塁打を厭わない、完成された大人のチームだった。

ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜と4球団で捕手として活躍した野球解説者の野口寿浩氏は「日本ハム時代に何度も対戦しましたが、昔から西武は嫌でしたよ。そのときに台頭してきたのが、松井稼頭央であり、中島裕之だった。

土井氏は現役通算で465本のホームランを放った強打者であり、その打撃指導には定評がある。3番の浅村栄斗内野手も打率は3割を超え、安定した成績を残している。

個人個人がパワフルというより、しっかり振ってくる。そして、黄金時代に終わりを告げた西武は、若手を積極的に起用するようになっていく。

西武は東尾さんが監督に就任してから、自由闊達なチームカラーに生まれ変わりました。松井、中島、中村、それぞれ彼らが持つ良い部分がどんどん伸びていったのは、そうした環境が大きかったと思います」その後、1996年から1999年、2004年から2007年、2011年から2012年と、合計4度も西武でコーチの職に就いている。

西武に“文化”を根付かせた土井正博氏の存在西武は80年代後半から90年代前半にかけて黄金時代を築いた。その文化が、間違いなく根付いていると思いますね。

キャッチャーとして、しっかりスイングされるのはやはり怖いですね」と西武打線を評する。