誠実さ」と「熱さ」と「ゴンらしさ」と。インタビュアー・中山雅史に見たサッカー解説者の未来

アジア杯前最後に行われる強化試合ということもあり、その選手 起用にも注目が集まっていた。中山氏のそういった姿勢に、選手 たちの表情は常に朗らかだった。しかし、冒頭で必ず「お疲れ様 でした」と挨拶をし、インタビューする選手の両目をしっかりと 見つめながら、ジェスチャーを交えつつ質問を投げかける。この 日、中継を担当したテレビ朝日松木安太郎氏と中山氏のダブル 解説で試合に臨む。もちろん、6-0という結果がそうさせた部分は ある。就任以降新戦力のテストに重きを置いていたハビエル・アギ ーレ監督であったが、11月の代表戦では長谷部誠遠藤保仁、今野 泰幸といった2014年W杯を戦ったメンバーを招集し話題となった。選手 たちの心を開いた特有のパーソナリティ第一線時代、『炎のストライカ ー』としてゴールを量産した中山氏。おそらく、インタビューした選手 たちはいずれも顔なじみなのだろう。

しかし、この日最大の見せ場は試合終了後にあった。選手が返答する様子 を見ていて、目には見えぬ忠誠心を感じずにはいられなかった。サッカー 界きってのムードメイカーであった。中山氏はこの日、特別な質問をした わけではない。しかし、真面目でありつつも時折「中山らしさ」を交えた その世界観は中山氏特有のものであり、そういった中山氏のパーソナリテ ィが選手たちの心を開かせていた印象がある。チームのパフォーマンスが 影響した部分もあっただろう。選手自身も中山氏をリスペクトする気持ち があるのだろう。試合終了のホイッスルを聞いた中山氏はすぐにピッチレ ベルへと降り、インタビューゾーンに向かう。本田相手に「あえて」とい う言葉を意図的に使ったあたりにも、中山氏の余裕とユーモアを感じる。 それは質問内容を文字起こしすれば分かる。